相続税対策は、将来のトラブルや負担を軽減するために重要ですが、多くの親が消極的であるのも事実です。以下に、その主な理由と、それぞれに対する対策を挙げてみます。 殆どが自分が生きている間に対策をしてもメリットがないと思うことや、家督相続の考えが残っているのだと思います。
自分がいなくなったら子供たちが何とかしてくれる。
そんな思いがあるのかもしれません。
家督相続とは
明治31年から昭和22年まで施行されていた旧民法の遺産相続制度で、戸主(家長)が死亡や隠居をした際に長男がすべての財産や権利を相続するものです。
家督相続の特徴は次のとおりです。
財産は個人ではなく家のもので、長男が継いでいくという考え方
配偶者や長男以外の子は財産を引き継ぐことができない
継いだ人は財産を継ぐ権利だけでなく、戸主として家族を扶養する義務を負う
家督相続は、時代とともに社会や人々の考え方が様変わりした結果、昭和22年に施行された民法改正によって廃止されました。しかし、現在も長男が家督相続を主張するケースがあるため、旧民法と改正民法の違いや、対処法を理解しておくとよいでしょう。
1:相続の話がタブー視されがち
相続の話題は「死」を連想させるため、多くの親にとって避けたいテーマです。特に、まだ元気であるうちは「そんな話はまだ早い」「終活なんて縁起が悪い」と感じることも多く、相続について話しづらい雰囲気を作りがちです。
対策
相続の話題は「家族の未来を守るための準備」として、柔らかく切り出してみましょう。「もしもの時に家族が困らないように、少し準備を進めておけたら安心だね」というように、家族全体の安心や未来のための話題として伝えると、親も受け入れやすくなります。また、「財産を守るため」という前向きな観点で伝えると、重くなりすぎずに話を始められるでしょう。
2:相続税の知識不足
相続税の仕組みは複雑で、専門的な知識が必要とされます。親世代の中には「よく分からない」「どんな対策があるのかが分からない」と感じる人も多く、それが対策を始めない理由になっていることが少なくありません。
対策
まずは、子ども世代が基本的な情報を集め、親と一緒に学ぶことが有効です。たとえば、相続税の基礎控除額や、相続税がかからない財産について説明したり、簡単に始められる生前贈与について調べてみたりするとよいでしょう。また、相続や税制についてのセミナーに親と一緒に参加することで、専門家の話を直接聞くと理解が深まり、親も自然と興味を持つようになるかもしれません。
3:先送りの心理
「まだ自分は元気だから」という心理が働き、相続の準備をつい先送りにしてしまう親も少なくありません。健康であるうちは「そのうちやろう」と考えがちで、結果的に準備が進まないことが多いのです。
対策
無理に「今すぐ対策を」と促すのではなく、家の片付けなど関連する作業から一緒に始めると良いでしょう。家の整理や思い出の品の片付けをきっかけに、「家族が安心して引き継げるよう準備しておこうか」という話がしやすくなります。第三者のサポートを受けながら行うと、片付けや整理がスムーズに進むだけでなく、親が自然と相続対策への意識を持ちやすくなるでしょう。
4:自分が生きている間には効果を実感しづらい
相続税対策は主に子ども世代のための節税であり、親自身が効果を実感しづらいことが、対策に消極的な理由の一つです。所得税の節税とは異なり、「自分の支出が減るわけではない」と感じることが少なくありません。
対策
「将来的に家族全体の負担が減る」という点を強調し、親が遺した財産がどのように役立つかについて話すと良いでしょう。たとえば、「少しずつ準備しておくと、いざという時に私たちが助かるよ」といったように、子ども世代にとっての安心材料であることを伝えると、前向きに考えてもらえるかもしれません。また、「生前贈与」など親が少しずつ実行できる具体的な方法を提案し、「準備がしっかりできていると安心」と感じてもらうのも効果的です。
このように、親が相続対策に消極的な理由を理解し、それに応じた柔軟なアプローチを取ることで、少しずつ親の関心を引きつけることが可能です。
家族みんなが安心して未来を迎えられるよう、日常の会話や取り組みの中でサポートを進めていきましょう。
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