近年、暗号資産が個人の資産形成の手段として広く活用されるようになり、相続や贈与によって取得するケースも増えています。これらの資産を受け継ぐ際には、相続税や贈与税の課税対象となるため、適切な評価方法を理解しておくことが重要です。税制や手続きに関して不明点がある場合は、お近くの税理士や税務署に相談するとよいでしょう。
ゴールドの生前贈与についてお問い合わせをいただいたのをきっかけに、株式、投資信託、暗号資産の評価方法についても調査しました。資産を生前に贈与する場合と相続で受け継ぐ場合では、評価額の算出方法が異なります。特に、ゴールド(地金)、上場株式、投資信託(公募・ETF)、暗号資産は、それぞれ異なるルールに基づいて評価されるため、どの資産をどのタイミングで贈与・相続するか慎重に考える必要があります。

ゴールド(地金)の評価方法
生前贈与
贈与が行われた日の時価(店頭買取価格)で評価されます。日々変動する金価格を確認しながら贈与のタイミングを決めることが重要です。
相続
被相続人の死亡日の時価(店頭買取価格)で評価されます。金価格が高騰している時期に相続が発生すると、課税額が大きくなる可能性があります。
上場株式の評価方法
生前贈与
贈与日の終値で評価されます。株価が日々変動するため、贈与のタイミングが重要になります。
相 続
以下の3つの評価方法のうち、最も低い価格が適用されます。
死亡日の終値
過去3か月の毎日の終値の平均
過去6か月の毎日の終値の平均
相続の場合は、評価額を抑えられる可能性があり、結果として相続税の負担が軽減されることもあります。
公募株式投資信託の評価方法
生前贈与
贈与日の基準価額を基に評価されます。投資信託の基準価額は1日1回算出されるため、価格変動を意識して贈与の時期を決めることが重要です。
相 続
死亡日の基準価額
過去3か月の基準価額の平均
過去6か月の基準価額の平均
のうち、最も低い価格が適用されます。株式と同様に、相続の方が有利になる可能性があります。
上場投資信託(ETF)の評価方法
生前贈与
贈与日の終値で評価されます。株式と同じ考え方です。
相 続
死亡日の終値
過去3か月の毎日の終値の平均
過去6か月の毎日の終値の平均
のうち、最も低い価格が適用されます。ETFも上場株式と同じ評価ルールが適用されるため、相続の方が税務上有利になりやすいと言えます。
暗号資産の評価方法
生前贈与
贈与日の時価(取引所の公表価格)で評価されます。取引所によって価格が異なるため、どの取引所の価格を基準にするかを決めておく必要があります。
相続
死亡日の時価(取引所の公表価格)
過去3か月の平均価格
過去6か月の平均価格
のうち、最も低い価格が適用されます。暗号資産は価格変動が大きいため、評価額に注意が必要です。
まとめ
ゴールド、株式、投資信託、暗号資産を生前贈与する場合は、その日の価格で評価されるため、価格の変動リスクを考慮しなければなりません。一方で、相続の場合は死亡日・3か月・6か月の平均値を考慮できるため、税務上の負担が軽減される可能性があります。
特に、株式や投資信託、暗号資産を相続する場合は評価額を抑えることができるため、税務対策として有効です。贈与・相続のタイミングを見極めながら、最適な資産承継の方法を検討しましょう。
税務に関する具体的な手続きや疑問がある場合は、お近くの税理士や税務署に相談することをおすすめします。生前贈与と相続における資産評価の違い
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